しふみんの日記

しふみんの日記です。

これ以上好きなキャラはもう現れないかもしれない

「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」
これは秒速5センチメートルのキャッチコピーだが、ここ数年、いや大学生になったあたりからずっと思っていることがある。それは「これ以上好きなキャラはもう現れないかもしれない」という想いだ。その想いの発露から10年以上経ったが、それは限りなく正解に近づいているように思える。

その好きなキャラというのは、スターオーシャンセカンドストーリーというゲームのレナ・ランフォードだ。
僕はこのレナというキャラがとても好きで、初めて出会った時から今に至るまでずっと自分史上最も好きなキャラとなっている。そして今もなお好きなのだ。Twitterアイコンもレナを妻に描いてもらった。

実際のところ、テイルズオブファンタジアアーチェ・クラインというキャラもかなり好きだが、それはそれ、これはこれ。
あとついでに言うと、このブログのアイコンとサムネにしているぷよぷよシリーズのアミティというキャラも好きだが、それはそれ。これはこれ。
さらに言うと、ONI Ⅴの御琴というキャラも(以下略)(オタクに多くありがちなそれはそれ、これはこれ × n)

レナと出会ったのは今から20年以上前のことになる。
あれは中学3年生になった春だった。中学生の頃は勉強ができなくて友達もほとんどいなくて毎日が本当につまらなくて、かといって当時はまだ自宅にインターネット環境がなかったので、いつもゲームで現実を逃避していた。その時は確かに人生の暗黒時代(ダークエイジ)だった。

そんな暗黒時代のある日、たまに立ち寄っていた兵庫県宝殿駅前のギャングスター一鈴館というゲームショップに行った。
元々はゲームショップだったのだが、営業状況が厳しかったのか業態を変えようとしていたのか分からないが中古漫画の販売も開始していた。その日店内で目に留まり興味を惹かれたのが、東まゆみ先生が月刊少年ガンガンで連載していたスターオーシャンセカンドストーリーのコミックスだった。本当にたまたまだったが、立ち読みができたので、そのコミックスを読んだのだ。これが運命の出会いだった。
それはなぜか4巻だった。そして4巻だからこそよかった。僕はこの漫画の4巻のある話のシチュエーションがとても好きで、詳細はボカすが読んだことがある人にはどのシーンかはすぐに分かりそうな、とにかく好きな話があるのだがその時ははとてもドキドキしながら読み進めた。

余談だが、この記事を書くにあたりその宝殿駅前のギャングスター一鈴館があった場所をGoogleマップストリートビューで確認したら、そこにはなんと見たことのない美容院の姿が。
また僕を育ててくれた景色が呆気なく金になった。

そして、レナというキャラにときめいたのだ。
その時確かに自分に電流が走った。「このキャラ可愛すぎるだろ!」と。自分の好みにぴったりだったためか、あるいはその時が人生の暗黒時代だったから、はたまた思春期だったからか、もしくはその全てがマッチしたのか、僕は「今までの人生で最高のすごい何かと出会ってしまった」ととても興奮していた。とはいえ、多感な思春期はそれくらい特別な期間だろう?思春期だったら何が起きてもおかしくはない。多感な思春期だからこそレナにときめいたのだ。
また、「この漫画自体も気になるし、なぜ僕は今までこの漫画のことを見逃していたんだ?!」とも思った。スターオーシャンセカンドストーリーという作品自体にも興味が惹かれたのだ。スターオーシャンセカンドストーリーエニックスが発売したプレイステーションのゲームソフトで、東まゆみ先生のコミックスはそのコミカライズだ。当時プレイステーションは持っていてゲームが発売されていたのは知っていたが、原作のゲームのイラストの雰囲気にはそこまで惹かれなかったのでスルーしていた。ゲームの絵にはそこまで惹かれなかった僕に電流が走ったのは東まゆみ先生の作品だったというのが本当に大きかった。というかそれが全てだ。
東まゆみ先生の描くレナちゃんは最高!東まゆみ先生の描くレナちゃんは麻薬!
これが僕とレナの出会いの原体験だ。

その出会いの直後に当時5巻まで発行されていたコミックスを全巻買い集めた。
「これは明らかに今までの人生の中で一番の宝、早くかき集めなければ」と思った。当時は兵庫県加古川という地に住んでいたが、街に大きな本屋がなくて(というか知らなくて)、コミックスを集めるのに苦労した。ガンガンコミックスは小さな本屋ではあまり品揃えがよくなかったからだ。
そして、スターオーシャンセカンドストーリーが連載されているガンガンという雑誌自体に興味が惹かれるのも必然で、その後に少年ガンガン本誌も購読し始めた。ガンガンにはスターオーシャンセカンドストーリーと同じく””宝””のような漫画が多くてよかった。僕は今でもハガレンが連載する直前の、というかエニックスお家騒動が発生する直前のガンガンはガンガンの黄金世代(ゴールデンエイジ)だと思っている。

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もし、タイプリープできたら一番やりたいことは歴史からエニックスお家騒動を消すことだ。本当にショックだったんだ。東まゆみ先生のスターオーシャンセカンドストーリーの連載が打ち切りになってしまうなんて悪夢以外の何物でもないだろう。現実はこのお家騒動で東まゆみ先生がマックガーデンに移籍されたが、今でもたまにもしお家騒動が発生していない世界線なら、十賢者を倒すまで漫画は続いていて東まゆみ先生の描くレナをもっと読めたのだろうかと夢想することがたまにある。

それからしばらくの期間はレナにときめいていた。
レナの夢を見るためにしばらくの間枕の下にコミックスを置いて寝ていた時もあった。もちろんレナが表紙に描かれているコミックス2巻だ。俺は本気(マジ)だったんだ。オタクの皆さんなら同様の行為の試みの経験があると思いたい。
が、今に至るまでレナの夢を見れたことは一度たりともなかったはここに書いておく。

また、当時はガンガンヴァーサスという、エニックスが発売していた名前の通りガンガンのキャラクターが出ているTCGがあった。 このガンガンヴァーサスを当時ほぼ唯一に近かった友人を誘ってプレイし始めた。その友人とはよく神戸三宮のゲーマーズイエサブまで行って対戦したり、大会に出たりなどをした。ガンガンヴァーサスはリーダーというシステムがあってお互いのリーダーカードのHPを先に0にした方が勝ちなのだが、もちろんリーダーカードはレナをずっと使っていた。能力もそこそこ強かったのでよかった。

ちなみに、その友人とは高校進学を機に進路が分かれたのだが、その後あまり連絡を取っていなかったらいつの間にか関係がフェードアウトして今では連絡が全く取れなくなってしまった。

暗黒中学時代のほぼ唯一に近い友人だったのにね。人間関係は大事にしないといけない。人生の学びです。
最後に風の噂で、とはいえもう10年以上前になるが、名古屋でプログラマしていると聞いたから今もどこかで生きているといいな。

コミックス購入の後を追ってPS版のゲームも買ったのだがゲームの方はあまりハマらず結局クリアせずに途中で投げ出してしまった。
ゲームを最後までプレイすることは難しい。自分の忍耐力が足りないのもあるが、やはり自分の中ではレナは東まゆみ先生の描くスターオーシャンセカンドストーリーのレナだからこそ好きだというのがあるのだと思う。一昨年にPS4版を買って途中までプレイしてまた放置しているので、そのうちプレイを再開してしてクリアしたい。
スターオーシャンセカンドストーリーはダブルヒーローシステムと言って、主人公をクロードというキャラとレナの二人のどちらかを選んでその視点で遊ぶことができる。もちろん、言うまでもなく主人公はレナを選んだ。

当時の話に戻るが、東まゆみ先生のスターオーシャンセカンドストーリーのイラスト集が2冊出ていた。「スターオーシャンセカンドストーリー Treasure」と「スターオーシャンセカンドストーリー Second Treasure」だ。
中高生の頃は姫路と三宮にアニメイトによく通っていた。行くたびにいつも買おうかどうかを迷っていたが、当時はあまりにもお金がなかった。電車代を節約できるからと数時間かけてアニメイトまで週十キロ自転車で漕いで行くくらいにお金がなった。

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結局当時はどうしても買うことができず、それから月日が流れ、ようやく去年2つのイラスト集を手に入れることができた。

(イラスト集を手に入れた嬉しさで唐突に喜びのメッセージを送るオタク)

もしあの時無理をして買っておけば、さらなる人生の高みが待っていたんだろうなという後悔がある。

ガンガンとの出会いが今のオタクとしての自分を作り上げたと思っている。
そのガンガンとの出会いはレナとの出会いが引き起こした。レナとの出会いのおかげでガンガンを読むようになった。ガンガンを読んでアニメイトに行くようになりオタクとなった。そこからコンピュータサイエンスに興味が出てきて専攻するために受験勉強し大学に受かった。そして、今はソフトウェアエンジニアをやっている。
おそらく、この記事で書いている出来事がなければ一連のチェーンは繋がっていなかった。レナとの出会いがなければ東京にも来ていなかったし、ソフトウェアエンジニアにもなっていなかった。今の自分の大部分を作り上げたのはレナと言っても過言ではない。
こんなの勝てるはずがないんだよな。とても自分好みのキャラのビジュアルとそのストーリーに、自分の思春期のあの日々が、人生のストーリーがアドオンで乗っているいるんだから。レナよりも好きなキャラが現れないのは当たり前なんだよな。

レナというキャラは十分に魅力的だが、それだけではレナへのここまでの想いは存在しえなかっただろう。
恐らくあの時あの場所で出会っていなかったら発生していなかったはずだ。当時の自分の状況がそこに吸い込まれたのだろう。
運や偶然を掴むためには、 “in the right place at the right time” (正しい時に正しい場所にいる) ことが重要だとよく言われているが、それに近しいものを感じる。僕にとってのあのタイミングとあの場所がそうだった。自分の状況を含めて全がてパズルのようにかっちりとハマったんだ。自分の直感がこのキャラ、この漫画だと言っていた。自分のエゴがそう言っていた。
先の “in the right place at the right time” はまた、ある行いを成功させるためには正しいタイミングで正しい場所に行けという意味でもある。正しいタイミングに正しい場所にいるか?を問うている。が、僕はこうも解釈している。「そのタイミングとその場所に正しいことを行えばいい」と。そして、自分が正しいと思っているならそれは正しいんだ。

未来のことも周りのことも大事だけど、今の自分が今の場所でどう思うかはもっと大事だ。 だから信じていい。今自分が一番熱いと感じているものを信じろ。自分のエゴと向き合え。今しか体験できない熱狂がきっとそこにあるはずだ。僕はもう一度あの熱狂をまた味わってみたい。